食パンのカビ
食パンを開封して、しばらくしたらいつの間にかカビが生えていた…
という経験をされた人も多いのではないでしょうか。
手軽に食べられるので毎朝の食事はパン、という方は困ってしまいますよね。
今回は食パンにカビが生えてしまう原因やカビが生えない方法があるか?
などについて、順を追ってご説明していきます。
カビる原因
そもそもカビはなぜ発生するのか?
という理由についてお話します。
カビが発生するためには必要な条件があり、それが酸素、温度、湿度、栄養分であると言われています。
この4つの条件が揃えばカビは発生しやすくなります。
◆酸素
カビも人類と同じ生物ですので、基本的には酸素を必要とします。
私達生活において酸素を取り除く事はできません。
真空チルド商品や冷凍食品など意図的に酸素を抜いたものでない限り、ほとんどの食品において、この条件は達成されていますね。
◆温度
カビは一般的に低い温度よりも高い温度を好む傾向があります。
中でも20~30℃前後は、カビが活発に活動する温度と言われており、カビが増加しやすくなります。
私達が日々過ごしている温度=カビの適正温度でもあるということですね。
◆湿度
カビの種類にもよりますが、基本的にカビは湿度が高いと活動しやすくなります。
80%を超えると急激な増加が見られ、梅雨の時期に発生率が高まるのはそのためです。
お風呂場は湿気が多い場所であるため、冬場でもカビが発生します。
◆栄養
カビはきのこなどと同じ菌類に属しています。
きのこは自然の光を浴びて光合成を行うことで栄養分を生み出して成長する一方、カビは栄養分を持つ物の栄養と水分を利用して成長します。
カビにとって一番の大好物は、デンプンや糖分を多く含むものです。
お米やお餅、食パンなどはデンプンも糖分も多く含まれているため、カビが発生しやすくなります
カビの見分け方
パンは周りに白い粉がついていることがありますが、多くはパンの打ち粉として使用される強力粉です。
打ち粉が使われるパンとしては、ハード系と呼ばれる外側がかたい食感のバケットなどでしょうか。
お店によっては、ハード系食パンも販売されていますので、カビなのか、それとも打ち粉由来の白いものなのか判別に悩むこともあるのではないでしょうか?
そんな時は、下記のことを目安にしてみて下さい。
◆白いものが浮き上がっていないか、綿状ではないか
カビは菌糸と呼ばれるもので根を伸ばして生えています。
そのため、カビが生えた場所から少し浮き上がって見える、もしくはふわふわした綿である場合はカビである可能性が高いと考えて良いでしょう。
◆賞味期限内であるか確認
スーパーなどで販売されている食パンの多くは、カビが発生しづらいように食品添加物が入っています。
梅雨や夏場以外で、高温多湿などの劣悪な環境でない場合は、添加物の効用により多くは賞味期限内であれば、カビが生えることは少ないと考えても良いでしょう。
添加物の有無については、原材料名で確認できます。
一例として挙げると、「ソルビン酸」や「酸化防止剤」は日持ち向上効果を目的とした添加物になります。
顕微鏡などでじっくり確認しない限り、専門家以外ではカビの種類や毒性を判断することは難しいです。
判断に迷う場合や怪しいと思われるのは、安全が第一と考えて食べずに捨ててしまいましょう。
カビの種類
カビによっても好む温度や湿度、栄養分が異なっています。
食パンなどの穀物に発生しやすいカビとしては青カビ、白カビ、黒カビなどがあります。
◆青カビ
青カビは自然界に広く分布しており、みかんや食パンなどの果物や穀物などに発生する他、種類によっては畳や押し入れにも発生することがあります。
特徴としては、多く繁殖し始めると青緑色をした円形のコロニー(集落)をつくり、周りを白い粉状または綿状のもので覆っていきます。
◆白カビ(麹カビ)
日本では、昔から味噌や醤油などを製造する際に利用されてきたカビの一種です。
昨今メディアでも取り上げられる「酵素」の力が高く、日本人の食生活にとって身近なものでもあります。
この説明だけ見ると、白カビを有益なものと思いがちですが、実はそうではありません。
中には「アフラトキシン」と呼ばれる非常に毒性が強い、肝臓ガンを引き起こす有害なカビも存在するので注意が必要です。
◆黒カビ
黒カビは空気中に漂う割合が高いカビだとされています。
浴槽やカーテンの裾、壁や衣類、食品と幅広く発生する可能性があります。
黒カビは低温や乾燥にも強いとされるため、一度根を生やしてしまうと根絶させるのはなかなか難しいです。
取って食べるのはあり?
「カビた部分だけを取って食べても大丈夫か?」という質問については、答えはノーです。
カビが目に見える程度になっていれば、その何倍も根を張っており、カビの胞子がどこまで広がっているか分からない状態だからです。
そのため、表面上のカビを取り除いた場合でも、実際は奥底に残ったカビを食べてしまっていることになります。
ちなみに、食パンは何日で食べ切ればいいかと言うと、2~3日が目安です。
ただし、市販のパンには、それぞれ消費・賞味期限が設定されていますので、設定された期限内で食べるようにして下さい。
誤って食べたのは大丈夫?
しっかり見ないと気付かないような小さなカビであれば、食べても問題ないことがほとんどです。
しかし、少量のカビであっても長期間食べ続けると、気付かない内に体にカビの毒素を溜めてしまう場合もあります。
また、カビの中には強力な毒素を持つ種類もありますので、見つけた場合は食べずに捨てた方が良いでしょう。
症状は出ていないけど、体への影響が心配という方は、殺菌作用が強い食品を食べて体内洗浄をしましょう。
殺菌作用が強い食品である、梅干し、玉ねぎ、ネギ、お酢、唐辛子、大葉などを摂取して体内の殺菌力を高めると良いでしょう。
万が一、下痢や吐き気などの症状が出た場合は、独断で市販薬を使用せずに、お近くの病院にかかる・相談するようにしましょう。
カビの対処方法
カビたパンは食べない方がいいとご説明しましたが、実際見つけた時の対処法はどうすればいいのでしょう?
簡単にはなりますが、対処法についてお伝えします。
一斤袋に入れて保管している場合は全て捨てる
食パンは一斤袋に入って店頭で販売されていますよね。
我が家では購入時の状態のまま、食べ終わるまで保管してしまいます。
しかし、その場合、開封時やパンを取り出す際にカビの胞子がつけば、封を閉じられた袋内ではカビが蔓延しやすい状態になってしまいます。
そのため、一斤袋の中の1枚にカビが生えたとすれば、他のパンにもカビが移って繁殖し始めている可能性が高いため、捨てた方が賢明でしょう。
周辺をアルコールで清掃
カビは一般的にアルコールに弱いとされ、効き目があるのは「消毒用エタノール」と呼ばれるものです。
一斤袋のまま保管していたとしても、完全密閉された訳ではありません。
食パンを保管していた周辺に、アルコールを噴射して清掃すれば、より安心です。
密閉容器などでパンを保管されていた方は、容器にもよりますが、熱湯殺菌もしくは、洗剤等でしっかり洗浄・乾燥後に使用すると良いでしょう。
カビを防止する保存方法
購入したパンがカビないためにも、保存方法や保存する際の注意点を守る必要があります。
何度もパンをカビさせてしまう!という方は下記の方法を試してみて下さいね。
高温多湿な場所で保管しない
カビは高温多湿が大好きです。
例えば、電子レンジや炊飯器の近くなど、蒸気が出て温度湿度が高まる近くでの保管はやめるようにしましょう。
1枚ずつ個別で冷凍保管する
食パンを長期保管する場合は、冷凍での保管がおススメです。
冷凍ですと、食パンがもつ水分を閉じ込めた状態で保管できますし、カビを防ぐこともできるからです。
冷凍保管する際には、1枚1枚アルミホイルで包み、フリーザーパックに入れると冷凍庫内の臭い移りも防げます。
冷凍庫ではなく、冷蔵庫で保管する方法についてはおススメできません。
食パンのデンプン質が劣化し水分が奪われることで、食感がパサパサして品質が劣ってしまうからです。