ご飯の腐敗
ご飯は腐る?
ご飯はデンプンの塊といっても過言ではありません。
細菌やカビが大好物とするデンプンを多く含んでいることで、腐りやすい食材といっても良いでしょう。
その分、保存方法を間違えばもちろん腐ります。
腐る原因
ご飯が腐る理由は様々です。
例えば、お米の栄養分によるものや、炊飯前の状態、保管環境などが関係していると考えられます。
下記に具体的を挙げましたので、見ていきましょう。
◆ご飯はデンプン・水分・糖分を多く含むため
ご飯はデンプンや糖分を多く含んでおり、細菌やカビが好む栄養分が揃っている分、腐り始めると進行は早いです。
ご飯を炊く時には十分な水に浸して炊飯器で炊きますが、ご飯はその水分全てを内側に閉じ込めて最終的に炊き上がります。
細菌やカビが大好きな栄養分に加え、十分な水分を含むご飯が腐りやすくなるのも、納得できるのではないでしょうか。
◆お米が古い、悪い
使用するお米自体が古い、もしくは良い状態でない場合は、炊きあがったご飯も長持ちしづらいです。
長期保管することで空気中の湿気や水分をお米が吸いこんだり、細菌やカビが付着してしまうことが、劣化の原因になります。
新米や比較的購入して新しいお米の方が、長持ちしやすいでしょう。
◆常温保管
冬場であれば、ある程度の常温保管は許されますが、初夏から秋口にかけての常温保管は大変危険です。
一般的に、夏場であれば6時間程度、春秋は12時間程度、冬であれば1日程度の常温保管は大丈夫であるとされています。
ただし、部屋の温度や湿度などの環境によっても違うので、一概には言えません。
あくまで目安であると考え、冷蔵・冷凍保管するようにしましょう。
◆保温機能を使って、炊飯器で保管し続ける
ご飯は60℃以下になると腐り始めると言われています。
では炊飯器の保温機能は何度であるかご存知でしょうか?
一般的な保温機能では、70℃前後でご飯を温めているため、菌の増殖を防げ、腐りづらいとされます。
コンビニで、レジ横のショーケースに揚げ物商品が並べられている様子をよく見かけませんか?
実は、これも保温機能といっしょで、菌が増殖しづらい温度設定にしておくことで品質を保っているのです。
だからといって、ずっと保温し続けていい、というわけではありません。
炊飯器の機能や使用年数などによっても異なりますが、保温機能を使っても6~7時間以内で食べた方が良いでしょう。
それ以上になると、ご飯をパサパサにさせたり、黄ばませるなど、劣化の原因になってしまいます。
また、保温中にしゃもじを炊飯器へ入れっぱなしにしたり、炊飯器の内蓋が汚れている場合も、同様に腐りやすくする原因になるので注意しましょう。
◆夏場でもタイマー機能を使って炊飯する
暑い夏にお米を長期間水に浸して置いておくことは、実はとても危険です。
炊きあがったご飯も長持ちしづらく、腐りやすいです。
また、炊飯器に閉じ込められた空気や湿気が、カビや細菌に結びつくことで、食中毒を招く危険性もあります。
高温で炊飯されるなら問題ないのでは?
と思う人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、細菌やカビの中には強い耐熱性を持って、200℃近い温度で数時間加熱されても死滅しない菌も存在します。
できれば、暑い時期には食べる数時間前から炊飯するようにしましょう。
やむをえず、タイマーを使用する場合は、氷を入れておいたり、お米一合あたりに小さじ1の酢を入れるなどの工夫をしましょう。
腐った場合の見分け方
ご飯が腐ると、どんな変化が出るのでしょうか?
あらかじめ、腐ってしまった場合の見分け方を知って、誤って食べてしまった!とならないようにしましょう。
◆見た目
ご飯が腐り始めると、通常よりも水分量が多くなって見えます。
劣化が激しい場合なら、お粥に近い状態になることもあるでしょう。
これは、細菌が繁殖することで、ご飯の栄養分などが溶解して水分が外側に溶け出しているからです。
また、触ってみると、納豆のように糸を引いて粘り気がある場合もあります。
◆臭い
ご飯が腐ったときの臭いを、酸っぱい臭い、納豆に似た臭い、甘酒に似た臭いと形容する人もいます。
微生物がご飯を分解することで、酸臭や、発酵臭に近しい臭いを発することがあるのですね。
◆味
いつもと比べて、見た目や臭いに大きな違いがない場合でも、食べてみたら酸っぱい味がしたということもあります。
中には納豆に似た発酵したような味、と表現する人もいます。
食べた時に感じる粘り気が、通常よりも強い場合も危険信号です。
ご飯が腐った場合の対処方法
実際、ご飯が腐った場合はどうするべきなのでしょうか?
明らかに腐っていると判断できる場合は良いとしても、微妙なラインの場合は判断に悩みそうです。
対処方法を見ていきましょう。
◆食べずに捨てる
先述した、腐った場合の見分け方に当てはまる状態であれば、食べずに捨ててしまうことをおススメします。
食べてしまった場合は、腹痛や下痢、食中毒などを招く危険性もあります。
症状があらわれた場合は、個人の判断でむやみに市販薬は使用せずに、病院に受診するようにしましょう。
◆ご飯を洗って、加熱調理
見た目や臭いに異常がなく、ご飯が何となく美味しくない…
というレベルであれば、ご飯を水ですすぎ洗いしてチャーハンやピラフなどにしましょう。
実は、食品が初期腐敗している段階では、ほとんどの人が「腐っている」とは思わず、「美味しくない」と品質の劣化と捉えている場合が大多数です。
発生した菌の数が多ければ多いほど、見た目や臭いなどにも変化が表れてくるようになってくるのです。
傷まないようにする保存方法
ご飯を1日に何回も炊くのは面倒ですよね。
できれば一度にたくさんの量を炊いて、しばらく保管していたいと思う人も多いでしょう。
そのためには、炊いたご飯を傷ませずに長持ちさせる方法を知っておく必要があります。
手軽に実践できる方法ばかりなので、試してみて下さい。
冷凍保存
ご飯は時間が経過するほど、ご飯に含まれるデンプンの水分が表面に出てきてしまい、風味が悪くなってしまいます。
ご飯の美味しさを長持ちさせるためには、急速冷凍が一番です。
ラップやフリーザーパックに炊き立てのご飯を優しく包んで、冷凍保管するだけで美味しさをキープできます。
ご飯の下にアルミホイルやアルミトレーを置くと、より短時間で冷やすことができて良いでしょう。
ちなみに冷蔵保管すると、ご飯の風味は下がるとされています。
ちょうどご飯の品質が劣化し始める2~3℃が、冷蔵庫内の温度に当たるからです。
そうするとパサパサした食感やご飯の甘みが感じづらくなるので、あまりおススメはできません。
ご飯を電子レンジで温めなおす際は、霧吹きで水をかけるとふんわりした食感が戻りますよ。
保温機能を使う場合は開閉時に注意
保温機能を使ってしばらく保管する場合は、開閉回数や開閉時間に注意しましょう。
開閉回数や時間が多いほど、腐りやすくなる原因になります。
空気中に舞う細菌やカビ菌が炊飯器内に入り込みやすくなりますし、保温時の一定温度が保てなくなるからです。
不必要な開閉は避けるようにしましょう。
あまり長時間炊飯器内で保管しても、風味や食感の劣化を招きますので、その場合は冷蔵・冷凍保管しましょう。
お弁当に入れる場合は、殺菌作用の高い食品を入れる
お弁当には必ずと言っていいほど、ご飯を入れますよね。
夏場のお弁当は、温度が高いことに加え、おかずの水分や湿気を吸って腐りやすくなります。
殺菌作用の高い生姜や大葉、梅干しなどを使用したおかずを一緒にいれておくと、それだけで菌の増殖を軽減できます。
また、ご飯がほかの食品の調味液に触れると、そこから腐ってしまうこともあります。
仕切りを用意したり、おかずカップへ個別に入れるなど食品同士が触れ合わないようにすることも大事になってきます。