墨汁の落とし方
墨汁の汚れはなぜ落としづらいのか?
墨汁がどんな物からできているかご存知でしょうか?
墨汁は松などの木や植物油を燃やしてススにし、ニカワで練り固めて液状化したものです。
最近では、炭素や合成樹脂を混ぜ合わせた墨汁も出回っているようですね。
墨汁の汚れが取れづらい理由は、性質と粒子の大きさが関係しています。
墨汁は水にも油にも溶けない「不溶性」の性質なため、通常の洗濯でも汚れを落とし切れません。
また、墨汁はススが原料なので、とても細かい粒子を粘り気のある液体に溶かしこんでいます。
汚れを落とす際の注意点
墨汁は通常の汚れよりも落としづらい特殊な汚れだと分かりましたね。
◆とにかく早い対処を
墨汁がついてしまったときには、とにかく早く対処することが重要です。
時間が経って繊維や素材に染み込んでしまうと、どんどん落とせなくなってしまいます。
◆水で洗うのは時と場合による
墨汁がついてしまった時にすぐに対処できるお手入れ用品と環境があれば、水を使ったシミ抜き方法も可能です。
しかし、学校の授業中やお稽古事など外出時に発生した場合、水で洗うだけではシミがさらに広がって被害範囲が増えてしまいます。
洋服についた汚れの落とし方
洋服についた汚れは、乾燥するとより一層落とせなくなります。
できるだけ早めに対処することが大事です。
比較的新しい汚れと乾いた汚れでも、落とし方の方法は異なります。
さっそく見ていきましょう。
米粒を使う
米粒を汚れの箇所にすりこませるようにしながら、墨汁を取り除く方法があります。
米粒のデンプン質が墨汁を吸い込んでくれますよ。
炊き立てや温かいお米の方がより効果が高まります。
墨汁の汚れを吸い取ったら、付着した米粒はお湯に浸して振り落とすイメージで洗い流すと取れやすいですよ。
歯磨き粉やクレンザーを使う
水や油に溶けない墨汁は、歯磨き粉やクレンザーの研磨作用を利用すると効果的です。
タオルを汚れた服の下に敷いて、歯磨き粉やクレンザーをシミの汚れにつけて水に濡らした歯ブラシで擦り洗いします。
汚れが薄くなるまでこの作業を繰り返して下さい。
最後に固形石鹸で擦り洗いし、ぬるま湯ですすぎましょう。
キッチンハイターを使う
乾いた墨汁にはキッチンハイターを使いましょう。
ただし、色柄物だと色落ちしてしまいますので、白い衣類のみに使うようにして下さい。
また、漂白力が強い薬剤なので、どうしても生地が傷む危険性があります。
汚れの箇所にキッチンハイターを噴射し、30分時間を置きましょう。
最後はお湯で洗い流します。
他の薬剤としては、マジックリンでも良いでしょう。
水で2~3倍希釈したマジックリンを汚れにかけて、固形石鹸を擦りつけて揉み洗いします。
シミが広がる前に水で洗い流しましょう。
墨石鹸を使う
シミの部分を水で濡らし、墨石鹸を塗り込みます。
そこに塩をひとつまみ振りかけ再度墨石鹸を塗り込んで、手のひらでこすってしっかり泡立てます。
水で洗い流した後は普段通りの洗濯を行いましょう。
また、この方法は比較的新しくできたシミに効果があるため、洗濯を何度かして時間が経過した洋服には効果が期待できません。
大根おろしを使う
大根に含まれるジアスターゼという酵素は血液や牛乳などのタンパク質を分解する力があります。
タンパク質の汚れは時間経過とともに固形化して取りづらいという厄介な汚れです。
墨汁に含まれるニカワは動物性タンパク質になるので、同様に効果が期待できますよ。
①大根をすりおろします。
②キッチンペーパーなどに大根おろしを包んで先端を輪ゴムで結びます。
③汚れた洋服の下に不要なタオルを敷きます。
④大根おろしを包んだキッチンペーパーでシミの部分をトントン叩いて汚れを浮かせるようにします。
汚れがキッチンペーパーに移ります。
⑤汚れが落ちたら、水で綺麗にすすぎ洗いしましょう。
また、大根の成分が残っていると乾いた際に輪ジミを作ってしまう原因になります。
しっかりとすすぎ洗いしましょう。
⑥普段通りの洗濯を行いましょう。
専用のシミ取り洗剤を使う
床や壁についた汚れの落とし方
床や壁へ知らぬ間に汚れが飛び散って固まってしまう場合もあるでしょう。
床や壁についた汚れの落とし方をご紹介します。
水で濡らした雑巾で拭く
フローリングなどの床は特殊加工がされているため、衣類と比べると汚れは取れやすいでしょう。
メラミンスポンジで擦る
中性洗剤もしくは塩素系漂白剤を使う
クロスに墨汁がついた場合、まずはスポンジやタオルで墨汁を吸い取ります。
その後、中性洗剤か塩素系の漂白剤を薄めたものをつけてこすります。
シミが広がらないように気を付けましょう。
最後にきれいな布で拭き取って完了です。
汚れの防止方法
子供が習字で墨汁を利用する場合なら、注意していてもシミを作ってしまいがちです。
黒い服を着る
消せる墨汁を利用する
万が一、洋服に付着しても消える墨汁が販売されています。
各個人で墨汁の種類を決めて持参するのであれば、こういった商品を利用するのも良いでしょう。