トリアセテートを洗ってみよう!
洗濯表示の確認
トリアセテート素材や混紡素材を洗うときには、まず、洗濯表示を確認しましょう。ですが、実際は、洗濯機OK、手洗いOKと表示されているトリアセテートは多くないです。衣服に使われている場合のほとんどは、ドライクリーニングで洗うように表示されているのではないでしょうか。しかし、もしドライ表示であっても、ガッカリしないでください。ドライ表示の衣服は、ガチガチにドライクリーニングに出さなければならないわけでなく、手洗いで洗っても大丈夫なものがほとんどです。また、最近では、洗濯できることを売りにしているトリアセテートも増えてきています。
おしゃれ着洗い洗剤を用意する
たとえポリエステルなどとの混紡素材であっても、普通の衣類用洗剤を使うことはお薦めしません。衣類用洗剤の多くは、アルカリ性であるため、トリアセテートの風合いを著しく落としてしまう可能性があるからです。つるんと柔らかい質感を見ても、アタックなどでゴシゴシ洗う系ではないな、と感じてもらえるのではないでしょうか。ですので、トリアセテートを洗うときには、エマールやアクロンなどの、おしゃれ着洗い洗剤を使うのが適しています。
脱水は短く切上げる
洗い上がりのことを考えると、脱水は短めに行うのがポイント。長く丁寧に脱水をしていると、トリアセテートにシワが付きやすくなります。と言って、脱水を全くしないとなると、水気がなかなか切れず、型崩れなどの原因となることがあります。ですので、トリアセテートの脱水は、一瞬で終わらせるのがコツ。長くても1分、個人的には、10数えたら取り出すぐらいで充分だと思います。
手洗いでの洗い方
①洗面器などにぬるま湯を張り、おしゃれ着洗い洗剤を溶かします。
②洗面器の中に、洗うトリアセテートを入れて、お湯に浸します。
③衣服に洗剤水がよく染み込んだら、優しく押し洗いをします。手のひらを使って、衣服を軽く押し、浮かせたり沈めたりを繰り返してください。
④フレアスカートなど、薄手で軽い生地では、振り洗いをするといいです。
洗剤水の中で、衣服をゆらゆらと振り、泳がせるようにして洗います。押し洗いよりも摩擦が少ないので、生地を傷めにくいです。
⑤汚れが落ちたら、洗面器の中のぬるま湯を張り替えて、すすぎ洗いを行います。
2~3回は水を入れ替えて、洗剤残りがないよう、きちんとすすぎましょう。
⑥衣服を取り出して、脱水します。洗濯機の脱水にかけて、1分以内にすぐ取り出してください。
手で絞る場合は、お団子状に丸めて、軽く絞った後に、バスタオルなどに包んで水気を切るといいです。
トリアセテートのアイロン掛け
洗濯ジワをなくすには
洗濯するときには、次の点に注意すれば、シワが付きにくくなります。
・洗濯機で洗わない
・手早く脱水を終わらせる
・脱水が終わったら、すぐに干す
シワができたらアイロン掛け
いくら気を付けていても、洗濯が乾いた後に、シワが残っていることがあります。または、着たまま長く座っていると、身体の重みに、汗や体温が合わさって、衣服にシワが付くことがあります。このようなときは、さっとアイロンを掛けてシワを取りましょう。
アイロンでできるシワに注意
トリアセテートは、熱で形が固定されるという性質があります。ですので、アイロン掛けを失敗すると、おかしな場所に変なシワが付いたままになってしまうことがあります。アイロンを掛ける前には、衣服を落ち着いてセットして、プレス位置を確認しましょう。メッシュ地など、下が透けてみえる当て布を使うと、失敗しにくくなりますよ。
アイロン掛けのポイント
トリアセテートにアイロン掛けするときのポイントは、次のとおりです。
・アイロンは低温で設定する
・当て布を使う(手ぬぐいやハンカチなど、綿素材で薄手のもの)
・撫でるようにさっとプレスする(強く押し付けない)
トリアセテート
トリアセテートとは
トリアセテートとは、天然原料と化学薬品とを混ぜて作られる、半合成繊維です。名前を聞いてもピンと来ないかもしれませんが、衣服などの布地としてよく使われています。女性の方は、自宅にある、春夏用のワンピースやフレアスカートの素材表示を見てみましょう。ポリエステルなどの化学繊維に並んで、トリアセテートと記載されているタグがあるかと思います。
トリアセテートの特徴(メリット)
ひんやりと涼しい
トリアセテートは、ひんやりと涼しい感触をしています。触れた肌が冷たく感じるほどで、体温を下げる効果もバッチリ。夏場に着る衣服の生地として、重宝されています。さらさらとした涼しい風合いがあるので、春から夏にかけてのジャケットやスカートなどにも使われています。
吸水性があり乾きが早い
吸水性があるトリアセテートは、身体から出た汗をパッと吸い込んでくれます。そして、乾きが早いため、衣服を着ているうちに、かいた汗が蒸発していきます。脇の下や胸元など、発汗が多い場所も蒸れにくく、サラッとした着心地を保つことができます。
弾力性がある
トリアセテートには、適度な弾力性があります。衣服として使うと、伸びがよく、身体を動かしやすいとメリットがあります。身体との馴染みが良く、こわばったりしないので、着心地が楽です。
シルクのような光沢
トリアセテートには、シルクのような自然な光沢があります。いかにも化学繊維という感じの光沢とは違い、上品でエレガントな風合いです。そのため、ドレスアップしたいときのワンピースやジャケットなどの生地として、重宝がられています。
ドレープが出る
シルクに近い質感なので、ドレープがきれいに出ます。タックを入れたワンピースや、フレアスカートなど、ふんわりと立体感を出したい衣服に使いやすいです。
柔らかくてふっくら
トリアセテートには、化学繊維らしくない、ふっくら感があります。手で触ってみると、まるで毛のような、柔らかくて豊かな風合いを感じることができます。
熱を加えると固定できる
熱を加えると形が固定できる性質のことを、熱可塑性と言います、トリアセテートは、熱可塑性が高い素材です。つまり、アイロンなどで熱すると、プリーツセットなどができます。
水洗いできる
トリアセテートは、特段、水に弱いということはありません。ですので、家庭で水洗いをしても、ほぼ大丈夫です。
トリアセテートを洗うときの注意点(デメリット)
濡れると強度が落ちる
トリアセテートは、水に濡れると、強度が落ちてしまいます。そのため、洗濯機の中で、引っ張られたり揉まれたりすると、生地が傷みやすくなります。とくに脱水は、強度が掛かるため、できるだけ短時間で終わらせるようにしましょう。
濡れるとシワになりやすい
トリアセテートは濡れると、比較的シワになりやすいです。そして、濡れた状態で付いたシワは、取れにくいです。とくに、洗濯機での脱水は、シワが付きやすいもの。脱水が終わったら、すぐに取り出し、シワを伸ばして乾かしましょう。
摩擦に弱い
トリアセテートは摩擦に弱く、こすり洗いなどには向いていません。歯ブラシやタワシでこするのは、もちろんNG。生地同士をこするのも、あまり良くないです。
アルカリ性に弱い
トリアセテートは、アルカリ性のものに弱いです。そのため、アルカリ性洗剤で洗うのはNG。普通の衣類用洗剤や石けんは、できるだけ使わないでください。おしゃれ着洗い洗剤などの、中性洗剤を使って洗うようにしましょう。
漂白剤に弱い
漂白剤を使うのはあまりお薦めしません。もし使うならば、酸素系漂白剤の液体タイプを選んでください。
シンナー系に弱い
トリアセテートは、シンナー系に弱いです。シンナーが含まれる溶剤に触れると、生地が溶けて、穴が開いてしまうことがあります。染み抜きなどに、マニキュアなどのシンナーを含む溶剤を使うのは避けましょう。