押し花の寿命
寿命
押し花は、一般的には、数年から数十年ほど持たせることができます。
ただし、押し花の作り方や、保存した環境などによって、年数は変わってきます。
押し花の寿命を長くするコツは、きちんと水気を抜いて押し花を作り、適切な環境で保存すること。
上手に保存すれば、20年から30年ほど、状態を保つことができる場合もあります。
変色・退色
押し花を長く保存していると、変色や退色は付きもの。
年数が経つとともに、少しずつ色があせて退色したり、茶色く変色してしまったりします。
作ったときのままの発色を、永遠に保つのは難しいでしょう。
しかし、保存環境を整えたり、押し花にひと手間加えることで、変色や退色を少しでも防ぐことはできます。
押し花にNGな環境
◆湿気のある環境
・湿気
押し花は、湿気のある環境では長持ちしません。
乾燥させて作った押し花に、水気が付くと、変色や退色しやすくなり、早く劣化してしまいます。
そして、水気が原因で、カビが生えてしまうこともあります。
・湿気を防ぐには
湿気を防ぐには、まず、押し花を作るときに、しっかりと水分を抜いて乾燥させることです。
手に持ったときに、しなっと崩れるような状態では、お花にまだ水分が残っています。
上に持ち上げたときに、まっすぐにお花が立つくらい、パリッとするまで乾燥させて作りましょう。
また、押し花は、湿気の少ない場所で保管しましょう。
フタ付きのタッパー容器や保存袋などに入れて、密閉して保存するのが鉄則。
密閉容器の中に、シリカゲルなどの乾燥剤を一緒に入れると、より湿気から守ることができます。
紫外線・熱のある環境
◆紫外線・熱
押し花は、日光などの紫外線に弱いです。
そのため、直射日光の当たる場所や、室外に置いておくと、すぐに変色してしまいます。
同じく、熱にも弱く、温度の高い場所に置いておくと、退色や変色が起こりやすくなります。
また、日光や温度が原因で、押し花が縮れたり、パラパラに崩れてしまうこともあります。
◆紫外線・熱を防ぐには
押し花は、冷暗所で保存します。押し入れやクローゼットの中など、薄暗い場所で保管するのがお薦めです。
窓辺やベランダなど、日差しが強く、温度が高くなるような場所には置かないようにしましょう。
また、電子レンジなどの電化製品の上は、熱が溜まりやすい場所です。
とくに、キッチンでは、炊飯器などの調理機器が多く、熱と湿気が高くなりやすい場所であるため、押し花を保存するには向いていません。
◆酸化しやすい環境
・酸化
押し花をきれいな状態に保つには、酸素に当たらない環境を作ることです。
酸素があると、押し花が酸化してしまい、変色などの原因につながるからです。
そのため、押し花を何かに閉じ込めるなどして、空気のない環境を作り出すことがお薦めです。
また、何かに密閉して保存することで、押し花が虫に食われることを防ぐことができます。
・酸化を防ぐには
フタ付きのタッパー容器や、ジップロックなど、ジッパー付きの袋に保存する方法が簡単です。
密閉した容器などの中にも、少量の空気は残りますが、それ以上の酸化を食い止める効果はあります。
また、完全に空気を抜くには、ラミネート加工をしたり、レジンの中に封じ込める方法などがあります。
劣化を防ぐコツ
適切な環境で保存する
◆材料・道具
押し花を入れるための、ジッパー付きの袋かタッパー容器を用意します。
他に、押し花を挟むための、ティッシュかコピー用紙を数枚と、シリカゲルなどの乾燥剤を用意してください。
お花の名前や採取日などを残しておきたい場合は、タックシールやマジックが必要です。
◆やり方
押し花を数本ずつ、ティッシュかコピー用紙などの紙に挟みます。
ノートやメモ帳などに挟むやり方でも構いません。
押し花は、お花同士がくっ付かないように、間隔を空けて並べてから、紙に挟んでください。
次に、ジッパー付きの袋の中に、シリカゲルを入れます。
シリカゲルは、100均などで手に入る、湿気取り用のものでOK。
小袋入りの乾燥剤は、そのまま封入すればOKです。
その袋に一緒に、紙に挟んだ押し花を入れてから、ジッパーを締めて密閉します。
袋の外側には、お花の名前などを記載したタックシールなどを貼っておくと、管理が楽です。
なお、押し花などを入れた袋は、箱などに入れてから、暗くて乾燥した場所で保管しましょう。
変色防止剤・着色剤を使う
変色や退色などの劣化が心配な場合は、変色防止剤を使って、色あせなどを食い止める方法があります。
ただし、変色防止剤の種類は少なく、一般にはあまり流通していません。
また、変色や退色が気にならないように、あらかじめ着色する方法もあります。
着色するときには、押し花専用の着色剤を使うのがお薦め。
ほんのりと色付く程度に染めるので、自然のお花の色合いに近く仕上げることができます。
保存方法
押し花保存用セット
押し花保存用セットでは、押し花を保存するための道具を、いちどに揃えることができ便利です。
内容は、保存用容器と乾燥剤、押し花を挟むための紙など。
容器は、フタにシリコンパッキンなどを使い、密閉性の高い作りになっています。
そして、押し花を挟む紙は、お花を傷めにくい材質と形状になっています。
たとえば、紙を黒く塗ることで、紫外線から守りながら保存できるなど、工夫が凝らされています。
押し花保存用セットは、押し花を大切に保存したいときや、名前や種類を仕分けしてきちんと管理したいときにお薦めです。
ラミネート
押し花を、完全に密閉して保存したいときには、ラミネート加工をするのがお薦め。
ラミネートフィルムを使えば、費用もかからず、簡単に加工することができます。
なお、ラミネートフィルムは、ダイソーなどの100均一や文房具店などで販売しています。
ラミネート加工のメリットは、保存しながらも、押し花を生活に活用できること。
本のしおりやランチョンマットにするなどして、押し花を日常使いしながら楽しむことができます。
なお、ラミネート加工とは違いますが、アイロンで圧着できるシートを使って、押し花を密閉するという方法もあります。
額縁(フレーム)
◆額縁に入れて保存
押し花を、飾りながら長持ちさせたい人は、額縁に入れて保存するのがお薦めです。
きれいにレイアウトされた押し花は、まるで絵画のような華やかさ。
押し花を作った想い出とともに、インテリアとして楽しむことができるでしょう。
◆材料・道具
・額縁
絵画用の額縁や、写真用のフォトフレームなどを用意します。
額縁などは、ガラス板やアクリル板の表面カバーが付いているものを選んでください。
表面カバーがないものだと、空気が直に触れるので、押し花が酸化しやすくなります。
さらに、湿気を吸いやすくなるため、押し花の持ちが悪くなります。
ちなみに、100均で売っているフォトフレームなどでは、表面カバーに、塩ビやPETなどの透明シートを使っているものがあります。
これらのものは、押し花を保存するための額縁としては、あまりお薦めできません。
というのも、塩ビやPETなどでできた表面カバーは、材質にたわみが起きやすいため、密閉性に欠けてしまうからです。
紫外線や熱にも弱いため、押し花に負担を掛けてしまうリスクがあります。
・台紙
押し花を貼るための台紙を用意します。
使う額縁の大きさに合わせて、色紙やハガキ、画用紙などを用意しましょう。
たとえば、和紙柄の色紙では、サイズも程良く、押し花をふんだんに使ったアレンジを施すことができます。
また、ハガキやポストカードは、フォトフレームにすっぽりと入る大きさなので、台紙として使いやすいです。
・乾燥剤
シリカゲルなどの乾燥剤を用意します。
額縁と台紙の間に挟んで使うため、薄手のものを選んでください。
たとえば、クッキーなどのお菓子や、味付け海苔などの食品に入っている、湿気取り用の乾燥剤がお薦め。
サイズが小さく、ペタンと薄い形をしているので、台紙の裏にも収めやすいです。
・その他
押し花とノリ、両面テープなどを用意します。
押し花のアレンジにプラスして、デザインを施す場合は、パステルやマスキングテープなど、装飾するためのアイテムを用意しましょう。
◆やり方
・押し花の貼り付け
台紙とする紙の上に、押し花を配置してから、ノリで軽く貼り付けます。
押し花は、フレームに隠れる場所にはみ出さないようにして、レイアウトするのがいいでしょう。
フレーム枠に沿って、鉛筆などで下書きをしておくと、バランス良く配置できます。
・乾燥剤の貼り付け
台紙を裏返してから、乾燥剤を両面テープで貼り付けます。
乾燥剤を貼る数は、色紙などの大きな台紙では2個ほど、ハガキサイズの台紙では1個ほどで充分です。
この台紙を、表面カバーの上に置いてから、フレームを締めたら完成です。
レジン
◆レジンに入れて保存
押し花を楽しみながら、長持ちさせたいときには、レジンに入れる方法があります。
透明で光沢のあるレジンは、押し花との相性が抜群。
レジンの瑞々しい煌めきが、押し花の可憐さを際立たせると同時に、活き活きとした質感に見せてくれます。
さらに、レジンの嬉しいところは、飾る方法以外にも、押し花を役立てることができるということ。
たとえば、ピアスやネックレスなどのアクセサリーに加工すれば、ファッションアイテムのひとつとして、押し花を楽しむことができます。
スマホケースなどに加工すれば、肌身離さず、押し花を持ち歩くことができるでしょう。
◆レジンに入れる効果
レジンの中に押し花を封じ込めることで、酸化や湿気による劣化から、押し花を守ることができます。
ただし、レジンは光を通すため、紫外線などによる劣化には効き目が薄いです。
とくに、ヘアアクセサリーやブローチなど、身に付けるものとして加工した押し花は、紫外線に当たる機会が多いため、変色や退色をしやすいです。
大切に保存しておきたい押し花で作ったレジンは、日差しの強い日などは、外で身に付けるのを避けたほうがいいでしょう。
◆やり方
モールドやフレームを使って、押し花を入れたレジンをかたどります。
まず、モールドなどの中に、少量のレジン液を流し入れます。
その中に、押し花を置いてから、よくレジン液に浸します。
爪楊枝などで突きながら、押し花に含まれる空気をよく抜きます。
次に、モールドなどの容量いっぱいまで、レジン液を追加して入れます。
しばらく置くか、UVライトに当てるなどして硬化させ、よく固まったら完成です。