【砂壁のカビ取り方法】落とし方(エタノール・サンドペーパーなど)や防止方法など

砂壁とは

古い家屋ではまだ現役

最近の家屋では、砂壁が使われることは少なくなりました。ですので、砂壁と聞いても、ピンと来ない人もいるかもしれません。たとえば、新しく建てられた家屋やマンションでは、砂壁が使われていることは珍しいです。

 

注文住宅などで、自分から砂壁を希望しない限り、お目に掛かることはないのではないでしょうか。一方、年季の入った住宅に引っ越すと、いまだに砂壁は残っています。古い貸家やアパート、公団や社宅などでは、まだまだ現役で使用されていることは多いです。

 

砂壁と壁クロス材

砂壁は、昔から日本の家屋で使用されてきました。日本の気候や建築方法と相性が良く、かつては和室の壁素材として欠かせない存在でした。

 

しかし、最近では、壁クロス材という、薄手のビニールや紙などで作られた素材がよく使われています。なお、砂壁と壁クロス材は、それぞれに長所と短所があります。

 

砂壁のメリット

・湿気を吸いやすく、湿度を保ってくれる

・嫌な臭いを吸ってくれ、消臭作用がある

・夏は涼しく、冬は暖かいように感じる

・火事のときに燃え広がりにくく、防火作用がある

・手触りに温かみがあり、心が落ち着く

・自然素材で作られているので、シックハウス症候群などの恐れが少ない

 

砂壁のデメリット

・触ると砂がポロポロと落ちてくる

・日射などで劣化しやすい

・物がぶつかったり、擦れたりすると、砂が落ちたり傷が付く

・昔らしい和室となり、モダンにはなりにくい

・色味が限られており、地味な色のものが多い

・染みや汚れが付きやすく、カビが生えやすい

・壁の塗り直しなど、定期的にメンテナンスを行う必要がある

 

 

砂壁とカビ

砂壁にはカビが生える

久しぶりに部屋の模様替えでもしようかと、タンスや棚を動かしたとき、砂壁に異変を感じたことはありませんか。白色や黒色の斑点や点々が見えたとしたら、それらはたぶんカビです。意外に思うかもしれませんが、砂壁にはカビが生えます。

 

カビが生えやすい場所

タンスなどの大きな家具の後ろには、カビが生えやすいです。家具と壁との間に、充分な隙間が空いていればいいのですが、壁面スレスレのところに家具を設置していると、カビが生えやすくなります。

 

また、窓に接したところにある壁面や、畳に近いところの壁面、部屋の四隅となる隅っこの壁面にも、カビが生えやすいです。キッチンや洗面所など、水気が飛び散る場所にある壁面や天井なども、カビが生えやすく要注意です。

 

砂壁に生えるカビ

砂壁に生えるカビは、ほとんどが黒カビです。黒カビでは、壁自体に黒い点々が付き、しだにモワモワと広がっていきます。黒っぽい汚れが、まるで水たまりのように、じわじわと大きくなっていくのが特徴です。

 

また、家具の裏側などでは、白カビが生えることもあります。

 

白カビでは、白くてフワフワしたものと、壁にしっかりと染み付いたものの二種類があります。壁に染み付いて広がるものは、黒カビと同じく、白い斑点状のものがしだいに上下左右に広がっていきます。

 

砂壁を洗うときの留意点

砂壁はデリケート

砂壁にカビが生えてしまったとき、普通のクロス材のように掃除するわけにはいきません。と言うのも、砂壁はクロス材よりも、デリケートに作られているからです。カビ取りをするときに、行ってはダメな方法は次のとおりです。

 

ゴシゴシこするのはNG

砂壁をゴシゴシとこするのはNGです。指の腹などでこするだけでも、パラパラと砂が落ちてくるのですから、タワシなどでこすったときにはもう大変!

 

砂がポロポロと落ちて、禿げ山のようになってしまいますよ。砂壁は、ゴシゴシとした摩擦に弱いため、こすり洗いはNGです。

 

水洗いするのはNG

砂壁には、水を掛けてはいけません。砂壁は水に弱く、たくさん水が染みてしまうと、なかなか乾きません。水分を含んだまま置いておくと、さらにカビが増える原因となるなど、壁が傷みやすくなります。砂壁を洗うときには、できるだけ水を使わずに洗うのが肝心です。

 

カビ取り剤を使うのはNG

砂壁には、カビキラーなどのカビ取り剤を使うことはできません。

 

砂壁は、市販のカビ取り剤を使うには、デリケートな素材です。漂白されて色が抜けてしまったり、糊が取れて剥がれ落ちてしまうというリスクがあります。

 

 

砂壁のカビ取り方法

サンドペーパー

壁ごとカビを削り落とす!

軽く生えた程度のカビならば、サンドペーパーで落とすことができます。サンドペーパーでこすって、砂壁の表面ごと、カビを削り落とすという方法です。

 

カビが生えた面積が小さい場合や、生えてから時間が経っておらず、カビの胞子が奥まで広がっていない場合に、お薦めの方法です。

 

また、黒カビなどが広がってしまい、取りあえず黒い染みを落としたい!というときの特効策としても使えます。

 

 

リスクなど

砂が一緒に削られるので、こすった部分だけ風合いが変わるなど、見た目に違いが出るリスクがあります。できるだけ砂を削り落とさないようにと思っていても、カビを落とす以上、砂は削り取られます。

 

いちど剥がれてしまった砂は取り返しがつかないので、慎重にこすっていきましょう。砂壁の色によっては、砂が剥げた部分がとても目立つことがあるので注意してくださいね。

 

家具の裏や天井など、あまり目に付かない場所のカビ取りに適しています。

 

やり方

①サンドペーパーを適当な大きさにカットし、指に巻き付けるようにして持ちます。

②カビが生えた部分に①を当てて、優しくこすります。ガリガリと力任せにこするのではなく、シャッシャッと同じ方向に滑らせるようにして、表面を少しずつ削り落としてください。

 

消毒用エタノール

無水エタノールで殺菌!

砂壁のカビ取りに使えるのが、消毒用エタノールです。ドラッグストアなどで購入するときには、無水エタノールという名前のものを探しましょう。

 

無水エタノールは、アルコール成分から出来ているため、水で拭き取れない場所の清掃などにもよく使われています。アルコール成分で、カビ菌を徹底的に死滅させることができるので、カビキラーなどと同じような作用を期待できます。

 

 

リスクなど

サンドペーパーと違って、カビ自体を落とせるわけではありません。エタノールを使っても、カビの黒い染みや点々などはどうしても残ります。ですが、エタノールは殺菌作用が強く、これ以上カビが広がるのを防ぐことができます。カビの繁殖をくい止めたいときには、ひとまず効果はあります。

 

やり方

①無水エタノールを、スプレー容器に詰め替えます。スプレー容器は、100均などでも購入できますが、アルコールに対応したものを選んでください。

 

②砂壁の目立たない場所に、エタノールをスプレーしてからしばらく置き、変色などが起きないかをテストします。見た目に問題なければ、③へ進みます。

 

③カビが生えた部分に、エタノールをスプレーします。エタノールは揮発性が高いので、このまま放置してもOKです。アルコール残りが気になる人は、乾いた雑巾で軽く押さえながら拭き取ってください。

 

カビホワイト

カビホワイトは砂壁対応!

カビホワイト強力除去スプレーは、砂壁のカビ取りに使用できます。・・・と商品説明には書かれていますが、使用するときには必ずバッチテストを行ってください。

 

また、砂壁にスプレーするときには、原液のまま使うのはNGです。2~3倍に希釈したものを、スプレーするようにしましょう。

 

 

リスクなど

砂壁では水拭きができないため、スプレーした薬剤を拭き取ることはできません。希釈した状態とは言え、壁にそのまま薬剤が残る形となります。

 

そのため、リビングや寝室などの壁には、あまり使わないほうがいいかと思います。小さな子どもやペットがいる家庭にも、あまりお薦めできません。

 

専門業者に依頼する

ひどいカビや色素落としは業者へ!

壁一面にカビが広がっている場合や、天井にカビがある場合などは、自分でカビ取りをするのは難しいです。また、しっかりとカビの色素が残り、黒い斑点や白い点々が目立っている場合にも、自分で色素を落とすのは困難です。このような場合には、専門業者に依頼して、カビ取りを行ってもらう方が安心です。

 

左官屋

左官屋などに、砂壁の塗り直しを依頼することができます。塗り直すときには、元の砂壁と違う色を選ぶこともできるので、気分転換にもなりますよ。最近では、左官専門の業者が減っているため、出入りのメーカーなどを通して斡旋してもらう方法があります。

 

ハウスメーカー

塗り直しや塗り替え

ハウスメーカーでは、壁のリフォームを行うことができます。大手メーカーでは、砂壁の塗り直しや塗り替えなどに対応していることがほとんどです。

 

ちなみに、砂壁の塗り替えでは、劣化した砂壁の上から、漆喰や珪藻土などを塗ることができます。珪藻土などでは、色のレパートリーが多く、モダンでおしゃれな雰囲気に塗り替えることも可能です。

 

また、砂壁の上に板を貼り、壁クロス材などを貼る方法もあります。

 

費用は高くなる

ハウスメーカーでは、壁だけを見るのではなく、壁と部屋全体、家全体を見て、色合いや雰囲気のバランスを考えてくれます。今までの和室からは見違えるぐらい、ガラリと雰囲気を変えることも可能ですよ。ただし、左官屋に頼むよりも、やや費用が高くなることが多いです。