ポリプロピレンと塗装
ポリプロピレンとは
ポリプロピレンとは、プラスチック素材のひとつです。
シャンプーや洗剤などのボトルから、タッパーやキッチンなどのキッチン用具まで、いろいろなものの材料として使われています。
たとえば、バケツやプランターなどの入れ物や、照明の筐体、DVDケースなども、ポリプロピレンを材料としたものです。
生活に係わるものの多くが、ポリプロピレンから作られており、とても身近な存在です。
そのため、DIYを行うときには、ポリプロピレンに塗装する機会が何かと多いです。
ポリプロピレンと塗装
ポリプロピレンは、塗装しにくい材質です。
そのままの状態で、カラースプレーなどを掛けても、上手く色が乗らなかったり、すぐに剥がれ落ちてしまうことがほとんどです。
というのも、ポリプロピレンとは、その特性上、着色や接着がしにくい素材であるからです。
専門業者などがポリプロピレンに対して、着色印刷や接着加工などを行う際には、あらかじめ表面処理を施しています。
もちろん、自前でポリプロピレンに塗装を行う際にも、表面処理という作業が必要となります。
塗装前の処理
汚れを落とす
最初に、ポリプロピレンの汚れを落としてください。
水洗いができるものは、よく洗ってから乾かしておきます。
水洗いできないものでは、水拭きなどを行い、表面をきれいに磨きましょう。
とくに、ポリプロピレン素材の生活用品では、日常生活で使用しているうちに、ホコリや手垢などが付着しています。
保存状態によっては、表面にカビなどが発生していることもあります。
たとえ見た目がキレイであっても、よく汚れを落としておくことが大切です。
なお、油汚れを落とすときには、ペイントうすめ液を浸したクロスなどで拭き取ると効果的です。
塗装前の準備
塗料が付いて困る場所には、あらかじめ、マスキングテープや養生シートなどで覆っておきます。
また、塗装は基本的に、風通しのいい場所で行ってください。
屋内よりは、屋外か、ベランダなどの半屋外で行うほうがいいです。
塗装前には、マスクやビニール手袋、ゴーグルなどで防備することを忘れないようにしましょう。
表面処理(下地作り)
塗装前の表面処理としてお薦めなのが、プライマーと呼ばれる下地材を使うことです。
プライマーとは、下地に塗るための専用塗料。
プライマーを塗ることで、下地と塗装面との密着性が高まり、塗装が剥がれ落ちにくくなる効果があります。
なお、ポリプロピレンに使用できるプライマーとして、主なものを紹介します。
◆ミッチャクロンマルチ
ミッチャクロンマルチは、名前のとおり、金属から樹脂までの幅広い素材に対応した、マルチなプライマーです。
もちろん、ポリプロピレンの下塗りにも使用できます。
スプレータイプなので、さっとひと吹きで下塗りは完了。
手軽にすばやく下地作りができるのが魅力です。
なお、透明なプライマーなので、カラースプレーの色合いが変わらず、発色を美しく整えてもくれます。
◆プラスチック用プライマー
ポリプロピレンにも対応した、プラスチック用のプライマーです。
塗装前に下塗りすることで、各種ラッカーや油性塗料、水性塗料の付きが良くなります。
透明な塗膜であり、1回の吹きつけで効果が出ます。
◆下地塗りのときの注意
プライマーを塗った箇所は、摩擦の力が高まるという現象が生じます。
そのため、バケツの持ち手の接続箇所や、DVDケースの開閉箇所などに、プライマーが掛かってしまうと、動きがスムーズでなくなることがあります。
開閉や回転などを行う軸などの部分には、プライマーが掛からないよう、マスキングテープなどで覆っておくことをオススメします。
塗装方法
道具(カラースプレー)
ポリプロピレンに塗装するときには、カラースプレーを使うのが便利です。
カラースプレーを買うときには、プラスチック用という分類の中から探し、ポリプロピレン(PP)対応と標示されていることを確認してください。
よく使われるのが、アクリルスプレーや水性多用途スプレーなどです。
ウレタンスプレーも、ポリプロピレンとの相性は悪くはないです。
ただし、ウレタンスプレーには、モコモコと浮き上がるような独特の質感があり、吹き付けにもそれなりに練習が要ります。
ですので、DIYなどに気軽に使用したいときには、アクリルスプレーや水性多用途スプレーのほうが扱いやすいでしょう。
注意点
塗装するポリプロピレンでは、曲げたり伸縮させたりという動きをするものは、できるだけ避けたほうがいいです。
まず、ポリプロピレンで作られたものは、比較的柔らかいものが多く、手で押しただけでも曲がるくらい、しなやかなものも含まれています。
たとえば、タッパーや収納ボックスなどでは、柔らかさを活かして、重みや圧力などによる曲げやしなりにも対応できるようになっています。
しかし、塗装するうえでは、この柔らかさが仇となってしまうこともあります。
というのも、塗装した面が、曲がったりしなったりすることで、塗装面がひび割れてしまうことがあるからです。
小さなひび割れを原因にして、塗装面が剥がれ落ちてしまうこともあり注意が必要です。
手順とコツ
◆距離と角度を決める
塗装するものとカラースプレーとの、距離と角度を定めます。カラースプレーの種類によるので、最初に説明書きを確認してください。
距離は塗装するものから、だいたい15㎝から30㎝離した位置に決めます。
角度は、スプレーの吹き出し口を、塗装するものに対して直角にして持ちます。
角度が直角でないと、色ムラやダマなどが生じやすくなり、仕上がりが美しくなりません。
◆移動しながら吹き付ける
塗装するときには、スプレーを持つ手を少しずつ動かしながら、色を乗せていきます。
上下や左右など、スプレーを動かす動作を決めておき、塗り残しのないように移動していきましょう。
塗り残しを防ぐには、先に塗った箇所と、次に塗る箇所との間をやや重ねながら、塗装を進めるのがいいです。
常に、3分の1から2分の1程度重ねるようにしながら、均一に塗装を行っていきます。
◆一定の速さと距離を保つ
塗装するときのスプレー缶の移動は、1秒間にだいたい50㎝程の速さが理想とされています。
吹き出しの強さと、移動の速さとを一定に保ちながら、滑らかに手を動かしましょう。
なお、塗装するものとスプレーとは、常に同じ距離を保つようにしてください。
塗装するものに対して、平行に移動することが、上手く塗装を行うコツです。
近づいたり離れたりして、距離が変わってしまうと、均一な塗装となりません。
◆乾燥させる
すべての場所に塗り終わったら、塗装が乾く前に、マスキングテープを外します。
その後、よく乾かしてください。屋外で塗装を行った場合は、屋根のある場所に移動させておくなど、雨やホコリが付着しないよう配慮しましょう。